存在を否定された話をします
「オレ、京都大学なんよ。イェイ」
理学療法士になるための
専門学校3年生のとき、
実習先の熊本の病院で言われた言葉です。
若い理学療法士さんの見学についたとき
いきなりそう言われたんですよね。
言っちゃあなんだけど、当時のぼくは
東大と早稲田、慶應くらいしか知らなくて。
京大?あ、京都の大学ですか?
くらいの認識しかなかったんですよ。
世間知らずというか、ウブというか。
「え、京大知らないの?頭いい学校だよ」
「そうなんですねー」
としか返せなかったけど、
正直、心の中では、
「で?なに?」
でした。
なんか昔から
肩書きで自分を説明してくる人に
あまり興味が持てなかったんですよね。
確かに世間一般的には
すごいのかもしれない。
でも、
その「すごさ」を見せつけられるほど
なぜか距離を感じてしまう。
たぶんぼくは、
すごい人に惹かれるというより、
「この人、なんでこんなこと考えるんだろう」
みたいな、
人間くさい部分の方に
興味があったんだろうなって。
いや、ただのあまのじゃくですけどね。
最近、インフルエンサーが
Substackに流れてきてるのを見てても、
ちょっと似たことを感じるんです。
フォロワー何万人。
月商何千万。
ベストセラー。
もちろん、
それ自体はすごい。
でも、知らない人からしたら、
「あ、そうなんですねー」
で終わることもある。
たぶん、フォロワー数って、
「価値」そのものではないんですよね。
むしろ、
「自分の価値を証明する材料」
として使い始めた瞬間に
どこか苦しくなる気がします。
とはいえ、なんですが、
そういうふうに、
肩書きでマウント取ってくる人に
違和感を持ってたぼく自身も、
ずっと、
「自分には価値がない」
って感覚の中で生きてきたんです。
自分を否定され続けてきた
ぼくは何度か、
パワハラとか、モラハラみたいなものを
受けてきた経験があります。
一度目は働き出して5年目。
担当してた患者さんが亡くなって、
「お前のリハビリのせいだ」
と言われたことがありました。
理学療法士として
これ以上ないくらいきつい言葉でした。
一生懸命やってた。
でも、否定された。
あのとき、
技術を否定されたというより、
〝存在ごと否定された〟
みたいな感覚が残ったんですよね。
その時のエピソードは
ここに詳しく書いたんで、
もし興味があれば読んでみてください。
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二度目は、公立病院に再就職したとき。
事務長からこう言われていたんです。
「あいつは言うことを聞かない」
「仕事ができないやつだ」
直接じゃなくて
まわりまわって聞こえてくる感じ。
業務の中で、
うまくいってもなかったことにされ、
何かあれば揚げ足を取ろうとする。
レッテルって、
直接言われるより、
じわじわ削ってくるんですよね。
人って、
評価されないよりも、
「決めつけられる」方が
苦しかったりする。
今思えば、もっと前から
そういうことがあったと思い出しました。
中学生のとき、1年間、
ムシされ続けたことがあったんです。
誰かに話しかけても
存在しないみたいに扱われたり。
あれって
かなり感覚が狂うんですよね。
「自分って、本当にここにいるのかな」
みたいに。
たぶん人って
嫌われること以上に
存在してない扱いされるのが
怖いんだと、身を持って経験しました。
こういう経験が積み重なると、
人はだんだん
「否定されない生き方」
を始めるようになるんです。
これがめちゃくちゃ重要だと
思ってて、
多くの人って、
「やりたいこと」
で生きてるんじゃなくて、
「否定されないこと」
を基準に行動を選び始めるんですよね。
ぼく自身、
完全にそうだったんです。
発信するときも、
「これ、変だと思われないかな」
「浅いって思われないかな」
「バカにされないかな」
って、ずっと頭の中で考えてましたから。
だから、
「正しく話そうと」する。
突っ込まれないように。
否定されないように。
ちゃんとして見えるように。
でも、怖いことに、
正しさを追い始めると、
どんどん「自分」が消えていったんです。
本音が削れていく、11段階のループ
こういう経験が積み重なると
人はあるループにハマっていく。
ぼく自身がそうだったので
一個ずつ話しますね。
① 過去の否定体験がある
患者さんの死をぼくのせいにされた。
事務長にレッテルを貼られた
中学で1年間無視された。
こういう体験の記憶って
いつまでも消えないんですよね。
時間が経っても
深いところにずっと残ってる。
② 否定されるのが怖くなる
一度否定されると
「また否定されるかも」
って 無意識に身構えるようになる。
自分のやることを認められない。
頑張ったことに蓋をされる。
揚げ足を取られる。
そういう経験が続くと、
何かをしようとするたびに
先に怖さが来てしまいます。
発信しようとするたびに
「これ、バカにされるかな?」
「浅いって思われるかな?」
「否定されないかな?」
そうやって、
頭の中でブレーキがかかるんです。
③「正しく」話そうとする
怖いからこそ
正論で武装しようとしていました。
でも、「正しい」発信をしようとすると
自分の言葉じゃなくなっていくんですよ。
ぼくがやってたのは
ただ学んだことの横流し。
誰かのセミナーで聞いたこと。
稼いでる人の発信で見たこと。
それをそのまま言う。
自分の一次情報じゃなくて
「正しそうな情報」を借りてくる。
稼いでいる人のまねごとをすれば
自分も正しく見えると思ってたから。
④ よく見せようとする
ぼくには、こんな思い込みがありました。
「稼がせられないコンサルタントはダメだ」
教わった人にもそう言われていたし、
SNSで発信する人たちを見ていても
勝手にそれが正しいことだと
思っていたんですよね。
だから、どこか
「すごそうに見せる」
必要があった。
キラキラした発信。
実績っぽい見せ方。
ちゃんとしてる雰囲気。
でも、
それをやればやるほど
苦しくなる。
なぜかというと、
「本音じゃない自分」
を演じ続けることになるから。
⑤ 変に整えようとする
よく見せようとすると、
言葉も整いすぎていきます。
削ってたのは自分のこと。
悩んでいること。
悔しいと思っていること。
うまくいかなかったこと。
そういう一次情報を
全部カットしてた。
だって、
「こんなこと言ったら、弱く見られる」
「失敗談は信頼を落とす」
そう思っていたから。
きれいな部分だけを並べてた。
⑥ 本音が削られる
削って、削って、削って。
悩みも、葛藤も、苦しみも、
全部カットしたら何が残るのか。
きれいだけど、それっぽいけど、
でも空っぽな言葉だけが残るんです。
⑦ 無難でどこかで見たような発信になる
本音がないから知識の横流しになる。
「〇〇するといいですよ」
「〇〇が大事です」
どこかで聞いたような話。
読んだ人も、
「あ、これ知ってる」
ってなって素通りしていく。
⑧ 誰の心にも刺さらない
無難な発信は誰も傷つけないけど、
誰の心にも残らない。
「そうですね」
で終わる発信。
この時は、そう。
自分の発信には価値がないのか
って思い始めていました。
⑨ 反応が返ってこない
投稿しても、無反応。
シーンとした画面を見ながら
こんなことを考えてました。
「なんで他の人は同じことを発信してるのに、
こんなに反応があるんだろう」
同じ内容なのに、あの人には届いて
ぼくのは届かない。
その差がわからない。
ずっと画面を見てることしか
できなかったんです。
⑩「やっぱり自分には価値がない」と感じる
ここが一番きつかった。
SNSを見ると、
自分より経験も知識も浅いのに稼げてたり、
周りに持ち上げられてる人がいる。
悔しかったし、惨めだった。
「もっとすごくならないと」
「もっと稼がないとダメだ」
「もっと学ばないと」
自分に言い聞かせるほど
苦しくなっていった。
⑪ さらに本音を出せなくなる
自分ってどんな価値があるんだろう。
なんのために発信しているんだろう。
それがまた、自分を否定することになってしまう。
そのループが自分の言葉を失っていきました。
ぼくの場合、
最終的に発信をやめました。
イヤになったんですよ。すべてが。
でも、そんなときに
気づいたことが、
ぼくが本当にしたかったのは
知識の横流しじゃなかったってこと。
本音の、自分の価値観を
発信したかった。
それができてなかったから
ずっと苦しかったんだって。
自分に価値があるって認めたいんだ
でも、今なら思う。
あの京大出身の理学療法士さんも
もしかしたら同じだったのかも
しれないって。
学歴を言わないと、
自分の価値が消えてしまう
気がしたのかもしれない。
肩書きで武装しないと
不安だったのかもしれない。
そう考えるとマウントって、
「自分はすごい」
を見せたいんじゃなくて、
「自分には価値がある」
ってことを、
必死に確認したい行為
なのかもしれない。
だから問題って、
発信がヘタなことじゃないんですよね。
多くの発信者って
やれSNS運用が悪いとか、
ライティングスキルが足りないとか、
そういう手段で解決しようとします。
でも、
そういうことだけじゃないんですよね。
本当の問題は、
〝否定されないように生き続けた結果、
本音を出せなくなってること〟
だと思うんです。
で、本音を削った言葉って
やっぱりどこか伝わらないんです。
きれいなんだけど、
残らない。
逆に、ちょっと不器用でも
ちゃんと〝その人〟が乗ってる言葉って
妙に心に残る。
結局、
人が反応してるのって情報より
「その人の存在」
なんだと思います。
今回の記事を読んで
あなたはどう感じますか?
ぜひコメントで感想をくださいね。
それでは今回はここまで。
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ラフ|価値の創造屋


